リコリスグラミー 飼育・繁殖メモ

リコリスグラミーの飼育・繁殖その他もろもろの備忘録です。

リコリスグラミーの飼育② 飼育編


web検索から来られる方が増えてきたので、わかりやすいように内容を随時加筆・修正しています。
こちらの記事ではリコリスグラミー(パロスフロメヌス)飼育方法について解説していきます。

あくまで私の飼育経験を元に書いたものなので稚拙な内容かもしれませんが、大事なポイントは押さえたつもりなのでご一読いただければ幸いです。

リコリスグラミーって何?という方はこちら
kn-licorice.hatenablog.com

飼育に必要な機材などについてはこちら
kn-licorice.hatenablog.com


リコリスグラミー飼育のポイント>

リコリスグラミーの飼育において大事なのは病原菌の繁殖を抑えること・しっかりエサを準備すること・混泳などで余計なストレスを与えないことです。

リコリスグラミーの生息地は東南アジアのジャングルを流れるブラックウォーターの小川や湿地帯です。

ブラックウォーターというのは落ち葉や倒木などから溶け出した酸性物質(腐植酸やタンニンなど)が含まれた赤茶色の水のことです。

この水には抗菌作用があり、また腐植物質が有害な重金属などと結合して沈殿させます。

そのため生息地の水は清浄でpH4.0前後・総硬度ほぼ0という水質になっています。

しかし、リコリスグラミー自体は意外と適応力があるため飼育においてはpHや硬度をそこまで下げる必要はありません。

一般的な熱帯魚と同じph6前後の弱酸性の水質で飼育出来ます。

しかし、一般的な熱帯魚より白点病コショウ病にかかりやすく、エロモナス菌カラムナリス菌が原因の病気になると魚病薬を使用しても回復する見込みが薄くほぼ死んでしまいます。

おそらく生息地は雑菌が少ない環境のため、あまり病原菌に対する抵抗力が無いのではないかと思います。

そのため、他の熱帯魚以上に病気には注意する必要があります。


また、自然界では水草の茂みに隠れながら小さな虫や微生物などを捕食して生活しています。

基本的に人工飼料には慣れず活きたエサを好みます。

そのため、活エサの準備も必要です。

それに、臆病な性格であることや少食で食べるスピードも遅いことから混泳魚がいるとストレスになったりエサを盗られるということがよく起こります。

エサの種類や混泳相手はしっかり選ばないとリコリスグラミーが弱って死んでしまう原因になります。


以上を踏まえて、ここからはリコリスグラミーに優しい飼育環境づくりについて解説していきます。

<飼育環境づくり>

水温、ph、TDS等の水質パラメータ

まずは水質からです。

先ほど書いたように水温26℃前後、ph5.5~6.5のあたりがベターです。

水温は低いほうがいいと書かれているサイトもありますが、28℃くらいまでなら問題ありません。

30℃を超えてくるとさすがに厳しいので夏場はファンクーラーを使って冷やしてあげてください。

逆に水温が20℃付近になると白点病やカラムナリスがでるので危険です。


自生地のphは4.0前後と非常に低いphですが、リコリスグラミー自体は適応範囲が広くph3.0~6.8くらいまで大丈夫です。

繁殖を狙う場合はマジックリーフ等で濃いブラックウォーターを作成し低phで飼育するほうが良いですが、他生物との混泳や水草を植える場合のことも考えるとphは5.5~6.5の範囲が管理しやすくベターです。

ソイルを使用すれば簡単にこの環境を作ることができます。

もし可能であればphは定期的に計測して確認されたほうが良いでしょう。(特に急にコケが増えたり病気がでたとき)

TDSの値は飼育環境やお住まいの水道水によって変わってくると思いますが、極端に高い数値でなければあまり気にしなくて良いと思います。

硬度もソイルを使用していればほとんど問題ないかと思われます。

砂利を使用している場合でもphが弱酸性であれば問題ありません。

水流はある程度あったほうが良い

次は水流についてです。

水流はほどほどにあると良いです。

止水域に生息していると誤解されがちですが、リコリスグラミーの生息している川自体は結構水流があります。

水草の下や物陰など少し水流が弱まったところに定住しているようです。

水流が無いと汚れが溜まったり水温にムラができて病気になったりします。

スポンジフィルターや底面フィルターの場合はエアーの排出量を調整して程よい水流を作ってあげましょう。

目安はリコリスグラミーが水流に流されるエサに追いつける程度です。

外部フィルターの場合は水流が強すぎる場合があるので排水口の向きを調整するか、ADA(DOOA)のストリームパイプ・オーブやエーハイムナチュラルフローパイプなどを取り付けて水流を抑えましょう。

ある程度の水流を作った上で、シェルターや流木などで流れの穏やかな場所をつくってあげるのが良いと思います。

ブラックウォーターは有効だが必須ではない

リコリスグラミーと聞くと一般的にブラックウォーターでの飼育を思い浮かべますが、ブラックウォーターにしなくても飼育できます。

底面フィルターにソイルを敷いた場合や水草水槽のようなクリアウォーターでも問題なく飼育できます。

もちろん現地ではブラックウォーターに生息していますし、ブラックウォーターにするメリットもあります。

以下がブラックウォーターのメリット・デメリットです。

ブラックウォーターのメリット

腐植酸により弱酸性の軟水になる。雑菌の繁殖も多少抑えられる。

②水に色が付き自生地っぽい雰囲気になる。

③魚が落ち着き発色しやすくなる。

④水中が暗くなるので若干コケが生えにくくなる。

繁殖を促す可能性がある。

ブラックウォーターのデメリット

①phや水中のカルシウム濃度が下がるので貝やエビには厳しい環境になる。

②水中が暗くなるので水草の成長に多少影響がでる。

③水中が暗くなるので魚の観察・撮影がしにくくなる。

④ブラックウォーターを維持するコストがかかる。

⑤知らない人が見たら汚い水槽にしか見えない(泣)

ざっとこんな感じです。

リコリスグラミーにとってはメリットのほうが大きいです。

ですが、無理にブラックウォーターにしなくても大丈夫です。

一般的な水草水槽なら自然と弱酸性の軟水になります。

水草が隠れ場所になり水質浄化も行うのでリコリスグラミーにとって良い環境になります。

結果的に雑菌の少ない清浄な水になっていれば良いです。

ご自身の飼育環境や同居生物に合わせて選択してください。

<エサについて>

リコリスグラミーは人工飼料にはなかなか慣れず、活きエサを好みます。

また、少食で食べるのも遅いので他の魚にエサをとられないよう注意する必要があります。

エサは1日1回を目安に与えてください。

2~3日エサを与えなくても死んだりはしませんが、少食ゆえに一度痩せるとなかなか太らないのでこまめに少量与えるのがベターです。

メインは活きエサ

初めての方は入手しやすいブラインシュリンプを湧かして与えましょう。

ブラインシュリンプの湧かし方は皿式が簡単でオススメです。

100均にある小さいタッパーに粗塩で作った2%前後の食塩水を張り、ブラインシュリンプの卵を耳掻き一杯分浮かべて暖かいところにおけば1~2日で湧きます。

あとはコーヒーフィルターやメッシュカップなどで分離すればOKです。

ブラインシュリンプを少量湧かすだけなら皿式が簡単です。

詳しいやり方や他の活きエサについてはそのうち記事にしようと思います。

慣れれば冷凍エサも

慣れてくれば冷凍エサも食べるようになります。

しかし、中には全く受け付けない子もいるので、ブラインシュリンプとの併用という形で使用するのがオススメです。

冷凍アカムシなら食べてくれる子が比較的多いです。

冷凍ブラインや冷凍ミジンコも食べると思いますが、うちの子はあまり食べてくれません。

私は基本ブラインシュリンプ・グリンダルワーム・ミジンコを日替わりで、たまに冷凍アカムシという形で給餌しています。

< 混泳相手はよく吟味する>

リコリスグラミー同士の混泳

リコリスグラミーは闘魚で知られているベタの親戚なのでオス同士でケンカをします。

しかし、ベタほど激しい戦いはせず、争う頻度も少ないため相手を傷つけるようなことはほとんどありません。

また、このケンカの時やメスにアピールする時が大変美しい瞬間なのでペアか数匹のグループで飼育することをオススメします。

ただ、ヒレがぼろぼろになるほどいじめられる場合は隔離してあげてください。

注意が必要なのは似通った種類同士の混泳です。

特定の種類のリコリスグラミーは見た目が大変似ており判別が困難です。

メスにいたってはほぼ判別不能なので、繁殖が目的の場合は混ぜないほうが賢明です。

他種との混泳

他種とも混泳できますが、リコリスグラミーは臆病でエサ取りも遅いのでストレスにならないよう混泳相手には気を遣ってあげる必要があります。

小型で大人しい魚を選んで混泳しましょう。

オススメはボララス・ブリジッタエやスンダダニオ・アクセルロディなどの超小型のコイの仲間です。

自生地ではリコリスグラミーと一緒に生息していることも多くお互いに仲良く暮らせます。

少し注意が必要なのは4~5cm程度のコイの仲間(ラスボラ・ダニオ・プンティウスなど)やテトラ・カラシンの仲間です。

こいつらは普段は大人しいですがエサ取りが早いのでリコリスグラミーのエサを奪います。

混泳させるときはリコリスグラミーにちゃんとエサが回っているかよく観察してください。

チョコレートグラミーのような他種のグラミー、小型のワイルドベタダリオ(バジス)の仲間とも混泳出来ますが、リコリスグラミーと生活圏が被りやすくリコリスグラミーが一方的に蹴散らされることもあるので混泳させる場合はイジメられてないか良く観察してください。

また、コケ取りで有名なサイアミーズフライングフォックス・シルバーフライングフォックスは大きくなるとリコリスグラミーを蹴散らしまくるので極力避けてください。

このほか、メダカやグッピーの仲間など酸性の水質が苦手な魚はオススメしません。

エビ・貝類との混泳

ヤマトヌマエビミナミヌマエビ・ビーシュリンプ等のエビ類とは問題なく混泳できます。

ただし、稚エビはリコリスグラミーに食べられてしまうので繁殖は諦めてください。

また、低硬度・低phの水質はエビ類には厳しい環境になるので注意が必要です。

イシマキガイなどの貝類も基本的に低phの環境では長生き出来ません。

唯一ラムズホーンがある程度の低phにも耐えられます。

ラムズホーンは爆殖するイメージが強いですがリコリスグラミーを飼育するような環境ではそこまで殖えません。

もし貝を入れるならラムズホーンがオススメです。

<日々のお世話>

水換え

週に一回25%を目安に換水しましょう。

換水に使う水はph7.0前後であればカルキを抜いた水道水でも大丈夫ですが、ph低めの軟水が用意できれば尚良いです。

水道水のphが高い地域の方は、マジックリーフやヤシャブシ等で水替え用のブラックウォーターを作ったり、ソイルを敷いたバケツ等に水を汲んでおいてそこから水を使ったりすると良いと思います。

また、簡単にブラックウォーターを作成できる商品も存在します。

なんとなく魚の調子が悪いと思ったら換水すると良くなることも多いです。


水を換えるときはできるだけ底砂を舞わせないように注意してください。

底砂表面のゴミや糞だけ静かに吸い取るようにしましょう。

経験上底砂を掃除すると病気がでるので私は極力底砂には触らないようにしています。

とにかく観察

リコリスグラミーは臆病で普段隠れていることが多いのです。

暗めの水槽で飼育することも多く病気のサインなどを見逃しやすいので日々注意して観察しましょう。

最初のうちは隠れっぱなしでも、慣れてくれば観察してても逃げなくなり美しい姿を見せてくれるようになります。

また、白点病やコショウ病(ウーディニウム)は早期発見できれば塩水浴や治療薬で簡単に直せます。

毎日観察して健康で美しい姿を維持しましょう。そして癒されましょう。

飼育編はここまでです。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。

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